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438 食糧危機と日本 日本商社の肥料関連事業(1)

昨年12月14日付け日経新聞より
食料危機と日本シリーズは昨年3月9日付け記事278「食糧危機と日本 その16 日本農業の課題と再生に向けて TPPと農業改革(11)」以降3.11の発生と世界食糧危機の鎮静化により掲載を休止していたが、1月27日付け日経新聞に「商社、南米の穀物調達拡大 三菱商事、ブラジル全土に集荷網 中国の需要増に対応 大手5社、15年2200万トンに倍増」と題し掲載されたので、久方ぶりに前記事436、437で本ブログが指向している南米における商社の活動にかかる記事を掲載した。
昨年12月14日付け日経新聞に「三菱商事、ブルネイで肥料原料生産 1100億円投資、16年メド工場」 「世界で食糧増産の動き 日本の安定調達先確保」と題し 下記記事が掲載されたので、関連の日本商社の活動としてそのまま載せさせていただく。
1.大手商社が相次ぎ肥料関連事業強化に動くのは、世界的な人口増による食糧増産の動きが背景にある。
農産物の効率的な生育に肥料は不可欠。需要の伸びるアジアなど新興国で低コスト生産し、現地市場の取り込みと日本への安定調達先の確保を図る狙いがある。
国連食糧農業機関(FAO)の予測では、世界の肥料需要は2011年の1億7570万トンから、15年には1億9000万トンに拡大する見通し。穀物など食糧作物だけでなく、畜産用の飼料作物やバイオエタノール生産に使うトウモロコシやサトウキビ栽培の拡大が需要を押し上げている。
地域別で伸びが大きいのは中南米。これに西南アジア、アフリカが続く。日本の商社の間では新興国での肥料原料プラントの建設や肥料の生産、販売などの動きが目立つ。資源分野に偏重する利益体質を改善するため、肥料など長期安定の収益源を築く狙いもある。
今後の焦点はリン酸とカリウムの原料鉱石の権益争奪の行方だ。いずれも生産国が限られており、資源メジャーや中国勢の争奪戦で権益獲得費用が跳ね上がっている。ペルーでリン鉱石の権益を取得した三井物産に続いて、同様の動きが広がる可能性もある。

2.「三菱商事、ブルネイで肥料原料生産 1100億円投資、16年メド工場」
三菱商事はブルネイで、肥料原料となるアンモニアの製造販売に乗り出す。事業化調査を実施したうえで2016年までに年産50万トンの工場を新設し、東南アジアなどで販売する計画。総事業費は最大15億ドル(約1167億円)。世界的な人口増加に伴う食糧の増産を受け、需要の伸びが見込める肥料関連事業に取り組む動きが大手商社の間に広がってきた。
三菱商事はブルネイ政府からアンモニアと関連製品の製造に関する事業化調査(FS)の認可を得た。12年中にFSを実施。政府から事業化の認可を得て13年にも着工する。同国政府系石油会社や日本の化学メーカーと合弁で生産する見通し。
三菱商事はマレーシア国営石油ペトロナスなどと、ブルネイ沖で天然ガスの探鉱を実施している。同鉱区には大規模なガスの埋蔵が見込まれ、14年にもガス田の開発を始める予定。今回はこの天然ガスを原料に使う。同国北東部のムアラ・ブサル島に年産能力50万トンのアンモニア工場を建設するほか、メタノールや尿素など関連製品の製造工場を建設する。
アンモニアの10年の世界貿易量(輸入)は1950万トンと、前年比1割増えた。英調査会社による今後5年の予測では、アジアの輸入量が25%伸びる見通し。三菱商事はインドネシアやタイなど東南アジアを中心に販売する考え。
天然ガス資源が豊富なブルネイは、液化天然ガス(LNG)生産には三菱商事が参画して日本に供給している。最近では産業振興として天然ガスを化学品原料に有効活用する政策を推進。アンモニアでは三井物産と三井化学が同国国営石油会社と約2300億円を投じ15年にも合弁生産を始める方針で、三菱商事も認められれば肥料原料の生産が相次ぐことになる。
肥料関連ではほかにも、双日と三菱重工業などがアンゴラでアンモニアなど肥料原料のプラント建設を受注。住友商事は中国に建設した化成肥料の合弁工場を稼働させるなど、事業拡充の動きが相次いでいる。
437 食糧危機と日本 穀物争奪戦と日本商社の活動(2)


1月27日付け日経新聞夕刊より
「食糧危機と日本」シリーズは昨年3月9日付け記事278「食糧危機と日本 その16 日本農業の課題と再生に向けて TPPと農業改革(11)」以降3.11の発生と世界食糧危機の鎮静化により掲載を休止していたが、1月27日付け日経新聞に「商社、南米の穀物調達拡大 三菱商事、ブラジル全土に集荷網 中国の需要増に対応 大手5社、15年2200万トンに倍増」と題し掲載されたので、久方ぶりに前記事436より本ブログが指向している中南米フォーカス記事を再開した。
本記事では同じく1月27日付け日経新聞夕刊に掲載された「商品ウオッチ穀物、神経質な動き続く 南米天候や欧州債務焦点 」と題する記事を下記し、前記事、本記事に対する筆者のコメントを述べる。
トウモロコシ、大豆など主要穀物の国際価格が神経質な値動きとなっている。有力産地の南米の生産が減るとの懸念が買い材料となる一方で、欧州の財政問題が上値を抑えている。先行きについても市場の強弱感が対立している。
トウモロコシのシカゴ相場は現在1ブッシェル6ドル前半、大豆は12ドル前半。ともに先週後半から堅調さが目立つ。主要穀物のシカゴ相場は米農務省が12日発表した需給見通しで米国の生産量が上方修正されたことなどで急落した。
投資家が着目したのが南米の天候だ。トウモロコシ、大豆とも南米の生産シェアが伸び、市場で存在感が増している。トウモロコシの買い材料となったのがアルゼンチンの乾燥懸念。アルゼンチンは米国に次ぐトウモロコシの輸出国で輸出市場の約2割を占める。
今月発表された米農務省の2011穀物年度(11年9月~12年8月)の需給報告では、アルゼンチンの生産量は2600万トンと昨年12月の発表に比べ300万トン減り、輸出量も150万トン下方修正された。
例年南半球が夏にあたるこの時期は南米の天候が穀物相場の材料になる。ただ悪天候予想でも結果的に生産量は大きく減らない例も多かった。
「今年も南米の生産はそれほど悪くならない」(丸紅穀物部福)との見方や、「南米の天候だけで上値を追うには材料不足」(マーケット・リスク・アドバイザリー)との指摘もある。
筆者コメント
前記事末尾にも記載あるが、世界の穀物需要が変化し、今や主役は中国である。
中国は世界貿易の6割に当る6000万トン弱を輸入し、トウモロコシも昨年から純輸入国に転換した。穀物を年間3000万トンする日本は「世界最大の穀物輸入国」という称号をあさっり奪われた。穀物相場は10年前の2倍以上の相場が続きもはやかっての安値には戻らない。
日本商社は南米をはじめ産地に攻め込んでいるが、中韓もエネルギー・鉱物資源に続き国を挙げて食料資源確保に動いている。中国国有企業の中国農地発展集団がブラジル中部で州政府と大豆農場の開発を決定、韓国は政府機関と商社が200億円を投じ海外に生産拠点や物流網を整備している。
日本商社が中韓のように政府に頼らず、各社が互いに競争関係を力として国際メジャーに肉薄すべく日々切磋琢磨しているのは頼もしい。
北米に続き南米産地で集荷力を高める一方、需要が急増する中国などへの供給拡大により世界的な穀物争奪戦の緩和と、日本向けの安定供給につなげる一層の努力と工夫が求められる。
筆者は南米に長期駐在した商社マンOBとして大いに応援したい。
次号記事438では食料増産に向け需要なテーマである商社の肥料関連事業への取り組みにつき掲載する。
436 食糧危機と日本 穀物争奪戦と日本商社の活動(1)

1月27日付け日経新聞記事より
食料危機と日本シリーズは昨年3月9日付け記事278「食糧危機と日本 その16 日本農業の課題と再生に向けて TPPと農業改革(11)」以降3.11の発生と世界食糧危機の鎮静化により掲載を休止していたが、1月27日付け日経新聞に「商社、南米の穀物調達拡大 三菱商事、ブラジル全土に集荷網 中国の需要増に対応 大手5社、15年2200万トンに倍増」と題し掲載されたので、久方ぶりに本ブログが指向している中南米フォーカス記事として下記する。
1.大手商社が南米で穀物調達を拡大する。三菱商事はブラジルの集荷会社に2割出資し、同国加工食品最大手と調達業務で提携した。丸紅は集荷会社の買収などで調達量を6割増やす。人口増や経済発展で中国を中心に穀物需要が急増、供給拠点として南米の重要性が増している。大手商社5社の南米での穀物調達量は2015年に2200万トンと今より倍増する見通し。日本の総輸入量の4分の3に当たる穀物を確保して新興国需要に応えるとともに、日本への安定供給につなげる。
2.三菱商事はブラジルの穀物集荷・販売会社セアグロ社に約35億円を投じ、2割出資する。穀物取扱量は年100万トンで、優先購買権も取得する。養鶏から鶏肉加工まで手がける同国加工食品最大手、ブラジルフーズとは大豆の調達で提携した。同社の自家消費用の穀物倉庫や、農家からの調達力を活用する。
ブラジル北・中部に集荷拠点を持つセアグロと、中・南部に強いブラジルフーズと組み、全土で大豆の集荷網を構築。15年までに500万トン以上を扱う体制を整える。
三菱商事は中国の中糧集団(COFCO)グループと中国で食肉加工の合弁事業を展開する予定で、最大500万トンの大豆を供給する契約を持つ。南米産地から消費地まで一貫した供給ルートを築き、事業基盤を強化する。
丸紅は昨年、ブラジルの穀物集荷・港湾輸出会社テルログ社を買収した。今後も集荷会社の買収や拠点整備を進め、穀物調達量を15年に今の6割増の900万トンに増やす。
三井物産は買収した農業生産・穀物集荷会社マルチグレインを通じ、調達量を6%増の340万トンに拡大。豊田通商と双日はアルゼンチンを中心に穀物集荷を拡大し、それぞれ350万トン、150万トンの調達を目指す。

3.トウモロコシや大豆などの穀物は米国とブラジルが二大産地。だが、北米ではバイオエタノールなど工業用需要が増加しており、増産余力のあるブラジルが新たな供給基地として浮上。特に大豆は11穀物年度(11年9月~12年8月)には米国を抜いて大豆輸出で世界首位になる見通しだ。
一方、中国では経済発展や生活水準の向上で豚肉など食糧需要が増大。昨年の大豆の輸入量は5700万トンと10年で6倍近くに増え、世界貿易の6割を占めた。今後はトウモロコシも輸入国に転じる可能性が高い。
日本の穀物輸入量は約3000万トン。商社各社は北米に続き南米産地で集荷力を高める一方、需要が急増する中国などへの供給拡大により世界的な穀物争奪戦の緩和と、日本向けの安定供給につなげる狙いもある。
次号記事437に続く。
No.435 ブログ市場分析(33):記事総閲覧数累計27万件突破

2008年3月22日にブログを開設、第1号記事を掲載してからほぼ3年10カ月が経ち、食糧危機、原油・穀物価格暴騰、米国発世界金融危機、資源と環境・エネルギー、東日本大震災(“3.11”)を主たるテーマとする記事を書いてきたが、1月25日現在閲覧=アクセス累計総数27万件を突破した。
1万件突破に7カ月、2万件に5か月かかったが、3万件、4万件、5万件は各3カ月、6万件、7万件は2カ月、8万件、9万件は1.5カ月、10万、11万、12万件は1カ月、そして13万、14万、16万、17万、18万、21万、22万件は(遂に1カ月を切り)3週間、そして15万件、19万件、20万件はほぼ2週間とペースが加速度的に早くなっている(23~27万件はまた1カ月に戻った)。
これは、記事数が増えるにつれ閲覧者の検索ワードも増え、アクセス回数が増えるためと思われ、複数記事を読む回数(ページレビュー数)も増えている。即ち、データバンク的な存在になってきたと言え、喜ばしい次第である。
1.アクセス解析により分析をしたら、下記の特徴が見られる。
閲覧(ページレビュー)が多いのはブログの主テーマである「世界食糧危機」、「原油・穀物価格暴騰と投機マネー」「資源と環境エネルギー」にかかるシリーズ記事で、「世界食糧危機シリーズ」や「資源争奪戦」シリーズは平均1日に400件以上であったが、3月20日に東日本大震災にかかる特記記事(我ら日本人、エネルギー政策見直し、官民新エネルギー構想、TPPと農業改革など)を掲載して以来1日で500件以上となり、昨年4月9日は777件、6月8日は740件、6月20日は969件、8月23日は815件、10月28日は1,090件、11月29日は1,008件、本年1月11日は1,101件であった。
(1) 6月24日掲載の下記記事「資源と環境エネルギー “3.11”と
エネルギー政策見直し(15)」は約1カ月で280件のレビューがあった。
現在までの累積では419件である。特578県57
記事330 http://fo-jac.blog.so-net.ne.jp/2011-06-24
(2)3月20日掲載の下記特記記事「“3.11”と我ら日本人(1)、(2)」
はほぼ1カ月で534件、171件のレビューがあった。現在までの累積では881件、335件である。特578県57
記事280 http://fo-jac.blog.so-net.ne.jp/2011-03-20
記事281 http://fo-jac.blog.so-net.ne.jp/2011-03-21
(3)2009年6月14日掲載の食糧危機シリーズ記事102「食料危機と日本 その15 食料安定確保 ブラジルセラード開発と日本商社の活動(1)」は1,126件であった。
記事102 http://fo-jac.blog.so-net.ne.jp/archive/200906-1
(4)2009年1月より開始した「資源と環境・エネルギー」シリーズのレビュー件数も増え、2009年1月15日掲載の下記記事66同シリーズその3「グリーン・ニューデイール構想/政策」に累計1,038件のアクセスがあった。記事66 http://fo-jac.blog.so-net.ne.jp/2009-01-15
(5)「国際標準戦争」シリーズへの読者の関心も高く、2009年9月掲載の下記記事130は1,228件のアクセスがあった。
記事130 http://fo-jac.blog.so-net.ne.jp/2009-09-22
2.筆者のチェックによれば、過去3カ月間でアクセス数の多い記事ベスト3下記の通りで、読者の環境・気候変動に対する関心が深いことが分かる。
1位 資源と環境・エネルギー その7 グリーン・ニューデイールその8 グリーン革命(3)17/5/09掲載 累計2,674件
2位 記事413 資源と環境・エネルギー 国際気候変動 COP17開催結果(1)
http://fo-jac.blog.so-net.ne.jp/2011-12-13 累計374件
3位 記事415 資源と環境エネルギー 国際気候変動 COP17開催結果(3)
http://fo-jac.blog.so-net.ne.jp/2011-12-15 計331件
3.2009年3月より筆者のプロフィールを載せたところ、当然読者の中には「ブログアドレス“fojac”とはどこの団体の誰が書いているのか?」興味を持つ仁もあると見えて、開設当初に掲載した筆者所属の大来財団(記事7)と大来佐武郎先生との出会い(記事6)につき夫々539、442件のアクセスがあった。
記事6:http://fo-jac.blog.so-net.ne.jp/2008-03-30
記事7:http://fo-jac.blog.so-net.ne.jp/archive/200803-1
これにアクセスしてきた読者は、不特定多数でなく、明らかに意図的な読者である。
4.2009年12月9日の記事147「ブログ市場分析(9)記事総閲覧数40,000件突破」では下記述べていた。
結論として、約3年9カ月に亘り続けてみて自分なりに納得した効果は;
① 自分の備忘録。纏めていると筆者が属する財団の活動上のヒントが得られることがある。
② 親しい友人や仕事の関係先に関連新聞・雑誌特集記事や番組を紹介し、自分の関心事や考え方を知って貰う。
③ 日頃業務多忙で新聞・雑誌特集記事や関連TV番組をじっくり読む/見る/分析する時間の無い方々のために纏める。
で、つまるところは“自己満足”と言うこと。
昨年10月13日付け記事226「ブログ市場分析(9)記事総閲覧数9万件突破」で下記付け加えた。
上記③項の比重が日増しに高まり、本ブログがだんだんデータバンク的な存在になってきたことに気がつき、自己満足だけでなく他人の役にも立っている様だと思いつつあるこの頃である。
昨年11月16日付け記事242「ブログ市場分析(16)記事総閲覧数10万件の大台達成」でさらに下記付け加えた。
本年3月の日経新聞電子版開始以来、③項の目的で記事を同電子版に頼りすぎる嫌いがあることを反省しつつ、日経新聞に謝意を表する次第である。
“3.11”以降日本の未曾有の危機に対処するための日本のあり方、日本人のリーダーシップ、エネルギー政策、TPPと農業改革、COP17などにつき中南米を離れた記事が多くなり、さらに日経新聞の電子版に頼ることが増えた、反省をこめつつ改めて日経新聞に謝意を表する次第である。
No.434 資源と環境・エネルギー 国際気候変動 COP17後のCDM排出量取引(2)


1月15日付け日経新聞より
昨年12月の記事413~416「資源と環境・エネルギー 国際気候変動 COP17(1)~(4)」で昨年12月に南アフリカ・ダーバンで開催された第17回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP17)関連記事を掲載した。
前記事433に続き、1月15日付け日経新聞「電子版セレクション」に掲載された「排出枠、ただ同然になる日 大量余剰抱えるロシア・東欧」と題する同紙宇野沢記者の興味深い記事を紹介させていただく。
4.日本はCOP17で13年以降の温暖化ガス削減の数値目標を設けない方針を示した。一方、東欧諸国やロシアの政府が持つ余剰排出枠の13年以降の扱いは決まらなかった。もし余剰分の13年以降への持ち越しが十分に認められなければ、「換金売り」が東日本大震災後の原子力発電所の停止で温暖化ガスの排出量増加が見込まれる日本に向かい、取引価格がさらに下がる可能性もある。
こうした市場の変化に、CDMで排出枠をつくってきた開発事業者は事業モデルの転換に動いている。
中国で水力発電プロジェクトなど40の排出枠創出事業を手がけているエコ・アセット(東京・港)。中国での新規開発はせず、案件の開発地をラオスやカンボジアなどに移している。13年以降に国連に新規登録できる排出枠の創出事業は、後発発展途上国(LDC)での自然エネルギー開発などに限定されるためだ。
5.買い手は欧州だけ:EUの民間企業が参加する排出量取引制度(EU―ETS)でも13年以降は、CDMの排出枠利用への制限が強まる。日本が京都議定書の排出削減期間延長に参加せず削減義務を負わないなか、企業の関心は、ほぼ唯一の買い手となるEUに売れる「排出枠づくり」に移っている。
京都議定書の削減目標達成に向け、排出枠を追加取得する負担が減るという意味では、価格下落は日本にとって朗報かもしれない。しかし、これまでに政府や電力会社が排出枠取得に投じた費用は少なくない。
温暖化対策は人類共通のテーマ。20年の発効をめざす次期国際枠組み「ポスト京都議定書」の交渉に臨むうえでも、排出枠価格の急落に象徴される現行制度の問題点の検証は不可欠だ。
筆者コメント」
COP17で日本は「気候変動問題の真の解決には、包括的国際枠組みの構築に加え、先進国のみならず、途上国も排出削減と経済成長を両立させていくことが重要である」とし、独自のイニシアテイブ“世界低炭素成長ビジョンー日本の提言”を発表した。同ビジョンでは先進国間の連携で技術革新を進めていくことや、途上国と連携し先進国の低炭素技術・製品を速やかに普及させる仕組みを官民一体で構築することなどが盛り込まれている。
筆者はかかる提言に同感であり、昨年12月の下記記事415、416でも同様のコメントを述べたので、下記に再度述べる。
記事415 http://fo-jac.blog.so-net.ne.jp/2011-12-15
記事416 http://fo-jac.blog.so-net.ne.jp/2011-12-17
“自主的取り組みに際し、国連機関が認証するCDMは日本が得意とする高効率の石炭火力発電技術や家電など省エネ製品の普及(ビジネス延長線上で実施する対策は審査を通り難い。そこで日本は上記COP17での発表に沿いハードルの高いCDMよりも先進国と途上国の合意で実施に移せる「2国間クレジット」の拡大など実効性のある仕組みを各国と連携して早く実現すべきである。”
No.433 資源と環境・エネルギー 国際気候変動 COP17後のCDM排出量取引(1)

1月15日付け日経新聞より
昨年12月の前記事413~416「資源と環境・エネルギー 国際気候変動 COP17(1)~(4)」で昨年12月に開催された第17回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP17)関連記事を掲載し、下記コメントを述べた。
記事413 http://fo-jac.blog.so-net.ne.jp/2011-12-13
記事414 http://fo-jac.blog.so-net.ne.jp/2011-12-14
記事415 http://fo-jac.blog.so-net.ne.jp/2011-12-15
記事416 http://fo-jac.blog.so-net.ne.jp/2011-12-17
“自主的取り組みに際し、国連機関が認証するCDMは日本が得意とする高効率の石炭火力発電技術や家電など省エネ製品の普及(ビジネス延長線上で実施する対策は審査を通り難い。そこで日本はハードルの高いCDMよりも先進国と途上国の合意で実施に移せる「2国間クレジット」の拡大など実効性のある仕組みを各国と連携して早く実現すべきである。”
その後も、上記記事へのアクセス数は多く、読者の環境に対する関心は深い様である。
1月15日付け日経新聞「電子版セレクション」に「排出枠、ただ同然になる日 大量余剰抱えるロシア・東欧」と題する同紙宇野沢記者の興味深い記事が掲載されたので本記事と次号記事で紹介させていただく。
1.「排出枠価格がただ同然になる日が来るのではないか」。温暖化ガスの排出量取引の関係者の間で、本気とも冗談ともわからない話がささやかれている。買い手がEUと日本にほぼ限定されているマーケットに東欧諸国から大量の排出枠が流入。供給過剰になってきているためだ。2013年以降の市場の仕組みが不透明感なまま、需給バランスが崩れた市場はどこに向かうのか。
排出量取引の価格は昨年来、下落が続いている。08年4月から算出を始めた「日経・JBIC排出量取引参考気配」は1月10日時点で1トン362.8円。1年前から7割も値下がりし、ピーク時(08年7月)と比べて10分の1以下の水準だ。
2.市場で噂飛び交う:昨年12月、南アフリカ・ダーバンでの第17回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP17)が閉幕して数日後、排出量取引の関係者を震撼(しんかん)させる情報が流れた。一部を除き自国の排出枠を売却してこなかったロシアが110万トン分を売ったとのニュース。「多くは商社経由で日本に流れているらしい」。市場では噂が飛び交った。
京都議定書の基準年である1990年以降、石炭使用量が大幅に減った東欧諸国は議定書の目標達成に余裕があり、余剰分を09年ごろから達成が困難な日本や西欧各国などに売り始めている。取引市場はすでに供給過剰。ロシアの排出枠の供給余力は2億トンとみられ、これが動けば取引価格の値下げ圧力が強まりかねない。
3.世界銀行によれば欧州や日本などの排出枠の需要は13億9200万トン。途上国の温暖化ガス削減事業を資金や技術で支援し、削減実績で排出枠をつくりだす国連のクリーン開発メカニズム(CDM)などからの供給は12億3800万~14億8700万トンとみられ、需給はほぼ均衡している。
しかし、ロシアや東欧諸国が持つ約15億トンの余剰排出枠が市場に出るとバランスは崩壊する。「パンドラの箱が開いた」。東欧が排出枠の売却を始めた09年、CDMによる排出枠創出事業を担当してきた商社マンは同事業の転機を予測していた。
東欧諸国の排出枠を最も熱心に購入してきたのが日本だ。日本政府が購入契約を結んだ排出枠9782.3万トンのうち、チェコとウクライナの両政府との契約分は合計7000万トンを占める。日本企業の東欧からの購入量は政府を上回る1億1500万トン(世銀調べ)。東欧から流出した排出枠の8割近くを日本が買った計算だ。
東欧の排出枠の魅力は価格の安さだ。政府の排出枠購入費を国内移転した排出枠の量で割った単価は、08年度は1トンあたり1万円超だったが、09年度は2ケタ下がり同900円台に。これが価格水準の急落を招き、市場の相場にも影響を与えている。
次号記事434に続く。
No.432 資源と環境・エネルギー 新たなる資源争奪戦 (10)

1月14日付け日経新聞より
昨年の“3.11”以降、5月2日付け記事305より本年1月15日付け431まで「“3.11”と官民新エネルギー構想(1)~(28)新たなる資源争奪戦(1)~(9)」をシリーズで連載、特に、再生エネルギー特別措置法案とシ天然ガス(特に新資源のシェールガス)につきフォーカスしてきた。
前記事430、431では1月15日付け日経新聞に「日曜に考える」に掲載された「(検証)シェールガス、エネ供給変える 北米先行、争奪戦が過熱 日本の調達、TPP追い風」と題する記事に掲載した。
1月14日付け日経新聞に「自主ガス田、本格始動 豪で2.6兆円事業 エネルギー、中東依存下げ狙う 」と題し下記掲載された。
日本の大型ガス田の自主開発プロジェクトが本格的に動き出す。国際石油開発帝石が13日、オーストラリア沖で340億ドル(約2兆6000億円)を投じる液化天然ガス(LNG)の開発・生産を決めた。日本が米国の制裁に協力してイラン産原油の輸入削減の準備に入るなど、エネルギーの中東依存が改めて課題になっている。日本企業が主導して中東以外での開発を進めることで、エネルギー調達の安定を狙う。

豪州沖で開発する「イクシス」プロジェクトは国際帝石が操業主体となり、仏トタルと共同で事業を展開。2016年末から生産を始め、17年に年間840万トンのLNGやコンデンセート(超軽質原油)の出荷を始める。
イクシスのLNGの7割の年600万トン弱が日本向け。日本の輸入量(10年)の1割弱を占める規模だ。出荷が5年先とはいえ「政治経済的に安定した豪州」(北村俊昭社長)に供給源を確保できたのは重要だ。
豪州側の期待も大きい。「豪州のガス産業は貿易相手国のエネルギー安全保障の重要な要素だ」。豪州のファーガソン資源・エネルギー相は同日の豪ダーウィンで開いた記者会見で強調し、安定供給を約束した。
ただ08年時点では200億ドル超としていた総事業費は340億ドルに跳ね上がった。資機材や技術者の人件費が高騰しており、環境対策コストも増えたもよう。今後は計画通りトラブルなく生産開始ができるかなどが重要になる。
日本の調達する原油の9割弱、LNGの2割強は中東・北アフリカ産。大半はホルムズ海峡を通過しており、イラン情勢の緊迫で安定供給への懸念も強まる。
LNGの開発・生産は欧米メジャー(国際石油資本)が先行し、日本勢は後じんを拝していた。原油・天然ガスの自主開発比率は23.5%(10年度)にすぎない。

だが今後は、アジア・太平洋では日本企業主導のLNGプロジェクトが相次ぐ見通し。三菱商事や国際帝石がインドネシアで年200万~250万トン規模の事業を計画している。豪州のLNG生産量は20年までに1億トンになると予想され、カタールを抜き世界最大のLNG輸出国になるのは確実だ。日本の電力・都市ガス会社がLNG購入や権益取得に動いている。
原油でも石油資源開発がイラクの「ガラフ油田」に参画を決め、今年後半から小規模生産を始める予定。とはいえ同国の「ナシリヤ油田」は交渉が停滞しており、中東依存の難しさが残る。カナダやベネズエラなどでも原油開発の取り組みが始まった。
昨年3月の福島第1原子力発電所の事故以降、日本は原発の再稼働や新増設が難しくなっている。当面は火力発電をフル活用する必要がある中、エネルギーの安定調達は一段と重要になっている。
No.431 資源と環境・エネルギー 新たなる資源争奪戦(9)


1月15日付け日経新聞より
昨年の“3.11”以降、5月2日付け記事305より1月15日付け430まで「“3.11”と官民新エネルギー構想(1)~(27)新たなる資源争奪戦(1)~(8)」をシリーズで連載、特に、再生エネルギー特別措置法案とシ天然ガス(特に新資源のシェールガス)につきフォーカスしてきた。
昨年12月22日付け記事417「資源と環境・エネルギー “3.11”と官民新エネルギー(27)新たなる資源争奪戦(7)」を参照願いたい。
記事417http://fo-jac.blog.so-net.ne.jp/2011-12-22
前記事430に続き、1月15日付け日経新聞に「日曜に考える」に掲載された「(検証)シェールガス、エネ供給変える 北米先行、争奪戦が過熱 日本の調達、TPP追い風」と題する記事に掲載させていただく。
4.開発競争も激化している。国際石油資本(メジャー)の米エクソンモービルはシェールガスに強い米XTOエナジーを総額410億ドル(約3兆1545億円)で買収した。日本企業でも伊藤忠商事が米ファンドと共同で米石油・ガス会社サムソン・インベストメント(オクラホマ州)を約70億ドル(約5400億円)で買収、国際石油開発帝石と日揮はカナダ西部で3鉱区の権益を約530億円で取得した。「今後も有望権益を狙いたい」(伊藤忠の豊島執行役員)と、争奪戦は過熱している。
日本企業もシェールガス開発に参入している。日本では原発事故で発電用のLNG需要が急増。電力10社の11年4~9月期の燃料費負担は前年同期比6600億円増えた。米国産ガスの輸出本格化はエネルギー調達コストの低減につながるとの期待もある。
米国ではシェールガスの登場で天然ガス価格が100万BTU(英国熱量単位)あたり3ドル台とピーク時の4分の1程度に下落した。日本向けLNGのスポット価格は現在17~18ドルに高騰しており、生産や輸送コストを加味しても割安になる可能性が高い。
三菱商事は東京ガスなどと、カナダでシェールガスをLNGに加工して日本などアジアへの輸出を目指す。丸紅や伊藤忠も米国から日本への輸出を検討する。米政府は原則、FTA締結国に限りLNG輸出を認めており、日本のTPPへの参加はこの点でも利点が大きい。15年にもアジア向け輸出が始まる見通しだ。
5.環境破壊に懸念:とはいえ課題も少なくない。シェールガス生産は従来のガス田開発と異なる技術やノウハウが必要で、技術者不足がネックになるとの見方がある。採掘では岩盤層を破砕するために大量の水を使い、米国では採掘時に使う化学物質などによる地下水汚染など環境破壊への批判もある。世界規模で開発が拡大していくかは見通せない部分もある。
次号記事432に続く。
No.430 資源と環境・エネルギー 新たなる資源争奪戦(8)

1月15日付け日経新聞より
昨年の“3.11”以降、5月2日付け記事305より12月22日付け417まで「“3.11”と官民新エネルギー構想(1)~(27)新たなる資源争奪戦(1)~(7)」をシリーズで連載、特に、再生エネルギー特別措置法案とシ天然ガス(特に新資源のシェールガス)につきフォーカスしてきた。
昨年12月22日付け記事417「資源と環境・エネルギー “3.11”と官民新エネルギー(27)新たなる資源争奪戦(7)」を参照願いたい。
記事417http://fo-jac.blog.so-net.ne.jp/2011-12-22
1月15日付け日経新聞に「日曜に考える」に「(検証)シェールガス、エネ供給変える 北米先行、争奪戦が過熱 日本の調達、TPP追い風」と題し下記掲載された。417記載の多数の前記事と重複するところも多いが、全文を本記事と次号記事で掲載させていただく。
1.地中の岩盤層に含まれる「シェールガス」と呼ばれる天然ガスが、世界のエネルギー需給構造を大きく変えようとしている。技術革新により、従来難しかった採掘が北米を中心に軌道に乗り始め、今後、世界で開発が進めば天然ガスの可採年数は2倍以上に伸びると期待されている。東日本大震災以降、ガス火力発電への依存が強まる日本にも朗報だが、開発の拡大に伴う課題も表面化している。
2.可採250年に倍増:「シェールガスは世界にエネルギー革命をもたらす」。丸紅経済研究所の美甘哲秀所長はこう指摘する。
理由は豊富な資源量だ。国際エネルギー機関(IEA)によると、従来の天然ガスの採掘可能な埋蔵量は404兆立方メートル。シェールガスは204兆立方メートルとされる。これにより在来型だけで120年程度とみられていた天然ガスの可採年数は、シェールガスなど新型天然ガスの登場で250年以上に伸びると予測する。
3.2つ目の特徴は従来型の天然ガスに比べ埋蔵地が世界各地に広がっていること。北米に加え、中国やオーストラリアなど幅広い地域で探鉱が進む。中東に集中する原油のように地域の偏りがない。
IEAによると、35年の世界の天然ガス需要は08年比62%増の見通し。世界のエネルギー需要の4分の1を占めるようになり、30年までに石炭の地位を抜く。シェールガスの増産が伸びを支える。
これまで米国は、20年代に天然ガスの国内消費量の3割を輸入に頼らざるをえないとされてきたが、シェールガスの登場により遠からず輸出国に転じる見通し。世界最大のエネルギー消費国の自給体制確立は、貿易収支の改善にも大きく寄与する。
次号記事431に続く。
No.429 資源と環境・エネルギー 米国グリーン・ニューデイール政策のその後

1月10日付け日経新聞より
2009年1月15日掲載の下記記事66「資源と環境・エネルギー」シリーズその3「グリーン・ニューデイール構想/政策」は大いに反響を呼び、本日現在の累計アクセス件数は1,012件に達した。
記事66 http://fo-jac.blog.so-net.ne.jp/2009-01-15
さて、3年後の本年1月、イノベーションを通じた産業育成と雇用創出を目指したオバマ政権の「グリーン・ニューディール」政策は、その象徴とされた太陽電池メーカー、ソリンドラ(カリフォルニア州)の破綻で暗礁に乗り上げた。3年連続で1兆ドルを突破した米財政赤字は、金融危機を境に増大した国の役割に見直しを迫る。
日経新聞1月10日付け日経新聞の「米国特集」に「新エネに我慢の時 官主導の育成に黄信号」と題し掲載された同紙在シリコンバレーの奥平記者の記事を下記する。

米シリコンバレーからサンフランシスコ湾を挟んで対岸に位置するカリフォルニア州フリーモント市。高速道路に沿って立つ工場はまだ新しいが、付近は閑散としている。太陽電池のソリンドラが昨年夏に経営破綻し、かつてオバマ米大統領も視察した工場は手付かずのままだ。
米エネルギー省から5億3500万ドル(約420億円)の融資保証を受けていたソリンドラに加え、太陽電池を手掛けるエバーグリーンソーラー(マサチューセッツ州)など2社も昨夏に破綻。同分野で米最大手のファーストソーラーは業績が伸び悩み、ロバート・ジレット最高経営責任者(CEO)が昨年10月に辞任した。
オバマ政権は「グリーン・ニューディール」により新エネルギーの普及と雇用増を狙ったが、昨夏以降は世界的な景気悪化や中国勢との競争激化という逆風が強まった。看板政策のつまずきは野党の共和党に格好の攻撃材料を与えた形で、官主導の新エネルギー産業育成には黄信号がともる。

一方、民間主導の投資は比較的堅調だ。全米ベンチャーキャピタル協会などによると、2011年7~9月期に米ベンチャーキャピタル(VC)による環境分野への投資額は前年同期比40%増の8億9070万ドルに増加。著名ベンチャー投資家のビノッド・コースラ氏も「競争が厳しい分野では失敗はつきもの」と語り、環境分野への取り組みを続ける。
もっとも太陽光・太陽電池への投資が伸び悩む一方、蓄電や省エネが人気を集めるなど分野ごとにムラがある。関係者が期待を寄せる大型の新規株式公開(IPO)もいまだ実現していない。新エネルギーにとってはしばらくは我慢の時が続きそうだ。
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